劇場紙風船 おふろ場


SWITCHonExcite劇場紙風船に書いた記事の、おまけページです
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2006-05-21-Sun-21:11

エスケープ・フロム・レント

映画『プロデューサーズ』の記事(1)(2)で言及した作品
RENT/レント
映画化する時、スコセッシのところにデ・ニーロから監督依頼がいったものの、脚本を読んで気に入らず話に乗らなかったという。

1.恋人の死は悲しい。
2.仲間をむごい理由で失うことは恐怖だ。
3.これからに対する不安と模索は、どうすべきとかいい悪いという問題ではなくずっとあるものだ。
4.今日も精一杯生きる。
5.アートでいきたい俺。

以上1から4はまことに正論、5は個人の自由だ。しかしこういう、それは言葉で言わないだろうということを全部念押しするように言ってくる。さらに「いい話」としてのしてくる感に気持ちがしぼんだ(以上、舞台『RENT』の記憶)。でも詩とゴスペルを援用した音楽とクリスマスを用いて、こうとしかなりませぬ、という徹底した世界を構築していると思う。とはいえ『シンドラーのリスト』の次に苦手なタイプだ。

ドキュメンタリーを、そのまま現実だと素朴にとる人は少ないに違いない。ましてや『シンドラーのリスト』はあくまでも「史実に基づく物語」で、れっきとした感動巨編の興行作品だった。
この映画で描かれているヒューマニズムや俳優の熱演や映像の技術に、けちをつける気もまったくない。だが『知ってるつもり?!』を劇場で観てしまった感じで、いつ関口宏がすっぱい顔で出てくるかと…。

戦争を直接描かずに描くこともできるフィクションの可能性が、もっとも萎縮したかたちで出てしまっているように思う。そしてわりと有名な実際の映像を、最新のテクノロジーで、新しく撮った画と織りまぜてお見せくださる。やさしいから客は楽できる。どういう都合でこういうことをやるのか考えたら、親切ではなくごかしなのは明らかでしょうあえて映画のタチの善し悪しを問えば、とてもよくないのではないか。
SHOAH』や地味な佳品は観ない、映画に馴染みのない人向けにつくられているのかもしれない。

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大方の評価に反するかもしれないが、スピルバーグの三部作で一番ましだと思ったのは『ミュンヘン』だ。イデオロギーの言葉で喋る人や、自分はちっとも悪くないのに暴力に巻き込まれる人たちではなく、イデオロギーや大文字の政治とは仕事をしない人たち(有力な情報屋から現場の暗殺班まで)を軸に据えている。

主人公がテロ首謀者11人の暗殺を引き受ける理由は、映画の中でいろいろと示唆される。が、パンフに書いてあるような「愛国心と哀しみ」とか「正義」にはとーてーも見えなかった。手違いで同宿になったパレスチナ系テロリストのリーダーに、あんな貧弱な土地にほんとに国なんかつくりたいのと、現実的なおかあさんみたいなことを言ってたではないか。

理由はまず、自分の生死にかかわる問題だったからだ。断ったら葬られる。引き受けても遅かれ早かれ、同じ道をたどることになるのだが。それから、すごく料理上手な主人公がいつも一味のごはんを作るという、生活感のややベタな描写、ジェフリー・ラッシュのしわい演技が光る「領収書」の話、出産を控えた主人公の奥さんを見てわかるとおり、近未来の生活=給料(高い低いではない)の問題があったと思う。その上で主人公は、決断をする時点でわずかでも善がまさると考えた方に賭けたのだ。

だから(多分日本の配給会社が考えた)キャッチコピーは「わたしは正しいのか」という呑気で不毛な戦争命題より、「やめたら生きていけないのか」の方が、まだピンぼけではなかったはずだ。その方が複雑な中東情勢を背景に70年代の欧州?アメリカを駆けたスパイの話も、日本の社会人にとって身近に感じられたと思う。
スパイものの絵的な興奮・ハラハラドキドキもあるにはあるが、どちらかといえば準備や物資が穴だらけというハラハラドキドキが続く。「まともな爆弾をつくれないのかよ!」には喜劇性すら感じた。
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