劇場紙風船 おふろ場


SWITCHonExcite劇場紙風船に書いた記事の、おまけページです
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2006-05-17-Wed-23:01

プロデューサーズ 2/アルトゥロ・ウイの興隆

ほら、そっくり。



左:プロデューサーズ 2005.7.6-24 東京厚生年金会館
右:アルトゥロ・ウイの興隆 2005.6.22-30 新国立劇場中劇場

映画『プロデューサーズ』の記事
プロデューサーズ  プロデューサーズ(続き)

舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』の話
ブレヒト原作、ハイナー・ミュラー演出、ベルリーナ・アンサンブル出演の『アルトゥロ・ウイの興隆』は、ヒットラーの権力掌握を、シカゴのさえない心底卑劣なギャングが、青果産業の支配権を握る過程に置き換えて描いた作品です。

冒頭、ウイがさかりのついた野良犬のように這いずり回る、強烈なシーンから始まります。色彩・物語・難解な仕掛け・オペレッタの雰囲気を借りた演出…どれも悪夢的でした。都合どおりにならない現実に生きる人間の鬱憤や妄想、羨望、弱い気持ちがふきだまって押し上げられたものが、他の抑圧に転じる。その過程は、あのカルト教団に集った人の心性、つまり現代の日本とも深く繋がっているんじゃないかと思います。
また、ある集団が一つの虚像をつくり、人心を集め金を出させる。実社会でこれをやっても怒られたり罪に問われず、それどころか金を出した人たちに拍手されるのは、演劇だけではないでしょうか。

落ちぶれた俳優を雇い、ウイが演技や身振りを学ぶ場面を観て、当初どちらかといえば親ユダヤで(ヒトラーの絵を売っていたハーニッシュの言)、バイトのつもりでやっていたらしい演説がとても受けたという、若い頃のヒトラーの才能を思い出しました。何かものすごい負のものが、言葉から炸裂してたのかもしれません。その会場に、なんで甘言を弄する劇団スカウトがいなかったのかな…と思います。

劇中で流された1974年のヒットソング♪The Night Chicago Diedは、カポネが銃撃戦を行い100人の警官が死んだ夏の夜の話(創作)を歌っています。FOXTV『X-files』2ndシーズンのエピソードでも使われたこの曲、どベタな歌詞の臭みは、漫画的な、中空に浮かんだ感情失禁風のコーラスでメロディアスに歌われることによって消されています。
この曲が何度かリフレインされたので、原作の題名「アルトゥロ・ウイのとどめがたくない興隆」に込められている(抑えれば止められた)という暗意は、現場の抑止について言っているのではなく、そもそも抑えも止めもしない社会を指しているということは掴めました。が、音楽的にはひねりが少ない気がしました。

7月に来日したメタ・ミュージカル『プロデューサーズ』もドイツ年関連作品に加えて欲しかったです。第三帝国を舞台にした「史上最低」劇中劇「ヒットラーの春」があるからです。『プロデューサーズ』は、喪失や虚無がどんなものであるか知っている人々が、それでも生きていこうとするタフさを、そう正面から言わずに描いたエンタテイメントです。優れた作品だけが持つ速さがあり、メル・ブルックスが壮大な無駄に込めた恐るべき意味に驚嘆しました。ところで『アルトゥロ?』でポスターになっていたあの人間逆卍は「ヴトケ自身のアイデア」とのことですが、『プロデューサーズ』でも出てきました。ゲイ・パージョンもあったはずです。人間の考えることは、往々にして似るんですね。(初出:Wonderland) 
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