劇場紙風船 おふろ場


SWITCHonExcite劇場紙風船に書いた記事の、おまけページです
観たもののリストや各種思いつき、特集記事などは大福帳に載せています

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2006-11-30-Thu-23:20

河童の三平/墓場鬼太郎 水木しげる

シンクロワールドカップ 観戦雑記に、手持ちの漫画『河童の三平』表紙を載せました。河童直伝の膏薬「三平こう」にまつわる伝説に取材した、連続長編の8冊目です。貸本だったらしく、後ろ見開きには日付の判子がペタペタと押してあります。かなりボロボロです。

ちょうどスイミングの場面が。
(クリックすると拡大します)
河童の三平 1

水木漫画の基本アイテム、美味しそうにすすられるコーヒーと喫茶店のケーキも別の場面で登場しています。全体的に墓場鬼太郎よりコマが白く、眩しい印象のある作品です。
河童の三平 2

こちらは『墓場鬼太郎』 3巻
墓場鬼太郎 


電灯ありでもこの黒さ 2巻
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『墓場鬼太郎』は、ゲゲゲの鬼太郎より前に書かれた貸本時代の作品です。幽霊族最後の生き残り鬼太郎は、墓場で生まれてから数年間、会社員の親子に育てられました。2巻の頃は、勝手に地獄へ行って戻った会社員と、再び同居しています。

やがて大家が家賃2倍上げを敢行したので鬼太郎は働き口を探し、金貸し業者から依頼された「水形生物」水神の借金取り立てに尽力します。ある時はねずみ男に目玉を人質に取られ、鬼太郎は召使となり彼の「高級アパート」へ。その後また転々として、保険のセールスをはじめたりします。
大人びた(たまに老け込む)台詞回しにベビーファットのついた顔だち、喫煙習慣、わりと柔軟な道徳観が、血と闇の薫り高い風景になんともよく馴染んでいます。

この頃の目玉は、風呂で他の者に命令するだけでなくいろいろ自分から動きます。言動は喜怒哀楽がはっきりしていて、隙が多くかなりユーモラスです。また、腐った幽霊の死体から目玉が落ちてこのかたちになり、赤ん坊の鬼太郎をひもでひっぱり励まして会社員宅に届けるくだりなどは、胸を打たれるものがありました。
目玉1

目玉2

ところで最近、こんな記事をみかけました。
あなたの好きな妖怪は? - 境港市で「第1回妖怪人気投票」開始

高僧なので圏外になってしまうかもしれませんが、水木氏もランクインしているということで、私はこの方を強く推します。
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科学万能を信じすぎた無知を指摘し、怪現象を分析後「しかたがありません」と言い残して去る怪僧チンポさまは、「ボクは新入生」(5巻)に登場します。

東京に接近してきた異常気象。それはブリガドーン(妖怪・幽霊の世界で、彼らはこの現象の中にしか住めない)でした。調布市在住の劇画家水木しげるの自宅を中心に、なぜかブリガドーンは定着します。おかげで自分が空想していた鬼太郎とねずみ男に喫茶店で会えた水木は、二人を家に招待。しばらくここに泊めてほしいという彼らの頼みを聞き入れ、同居をはじめます。

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濃いスモッグのように見えて、外からは決して闇の中に入れず逆戻り、中は外部と遮断されているブリガドーンは、日に日に大きくなります。水木はお化けと同化して生きることを決意。「あなたそれでも人類?」と冷やかな視線を送る水木の妻に、「お前はだまってきょうからお岩スタイルにしろ!!」と覚悟のほどを示します。

水木家の近所にて
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その頃、外では有識者会議の真っ最中。科学では歯が立たないという博士の発言を無視し、水木一家が中にいることを知りつつ、議長は原爆ミサイルをぶち込もうとします。が、動物愛護協会(あはは)と地元代表が反対。バカにされて切れつつも忠告する霊研究会代表の提案で、一同は千里眼の僧を呼ぶことにしたのでした…。

ブリガドーン発生の謎と間抜け度を競う人間を縦糸に、のたーっとした恋の鞘当て(鬼太郎、ねずみ男、カロリーヌ嬢)とガモツ氏の企みを横糸にした129ページの中編です。

『墓場鬼太郎』では、人間をぼんやり包むように自然があって、人間と自然との境はパックリした線ではなく、グラデーションで描かれているように感じます。妖怪は、人間から自然に向かってだんだんグラデーションが濃くなる薄暮の中に置かれています。

おそらく巨大で茫洋とした自然が、あるかたちをとって名前を与えられているのが妖怪です。たとえば水神は水そのものを、不定形の妖怪として描いたものでしょう。
そうかと思えば、小豆をしょきしょき研ぐだけの妖怪もいます。彼らは理解を超えた他者です。そのことが、違う時代からの知恵という論理とは別の語り口で表されています。

で、本来その「論理とは別の語り口の知恵」は、科学と敵対する関係ではなさそうです。科学と知恵はどちらも曖昧なところがあります。つまり間違いやエセの入り込む隙は両方とも持っていて、実際、これまで正しいとされてきた常識が間違っていた、ただの都合のいい理屈だったなんてことはどちらにもありました。

両者は互いに指摘しあうというか補うことで、どちらかの悪が肥大するのを避ける一手だてになり、専門家以外の多くの人の誤解・思い込み・都合のいい解釈を防いで「合点いきまくり」の状態に導いてくれるものだと思っています。

『墓場鬼太郎』は傑作揃いなので甲乙などつけられませんが、「ボクは新入生」では水木と妻の夫婦漫才も楽しめます。

やっぱり記事は、これでしめましょう。
喫茶店(非カフェ)の三角ケーキとコーヒー
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ビンタ
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