劇場紙風船 おふろ場


SWITCHonExcite劇場紙風船に書いた記事の、おまけページです
観たもののリストや各種思いつき、特集記事などは大福帳に載せています

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2006-10-07-Sat-10:19

マッチポイント

マッチポイント
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20061007061016.jpg

恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座 ほか全国ロードショー
配給:アスミック・エース 
コピーライト:(C)JADA PRODUCTIONS 2005

『マッチポイント』はウディ・アレン70歳の作品です。オーバー70の監督というと、アメリカ人ですぐ思いつくのはロバート・アルトマン(81 1925.2.20-)、クリント・イーストウッド(76 1930.5.31-)。ポルトガルではマノエル・デ・オリヴェイラ(97 1908.12.11-)、日本人の監督では谷口千吉(94 1912.2.19-)、新藤兼人(94 1912.4.22-)、市川崑(90 1915.11.20-)、鈴木 清順(83 1923.5.24-)の名が浮かびます。犬塚稔(105 1901.2.15-)も存命です。

追記
2006.11.20 ロバート・アルトマン逝去 
オスカーノユクエ 第78回アカデミー賞オノラリー受賞時のレポート
レポートからアルトマンのスピーチ引用「最初に聞いたときは予想外でした。名誉賞とは引退時にもらうものだと思っていましたから。」

プレゼンターのリリー・トムリンとメリル・ストリープによる豪華漫談が、アルトマンの「演技すんな」映画のメタ・フィクションになっていて爆笑を誘います。
放送でこれを観ましたが、ダイジェストで紹介されるアルトマン作品のどれもが、名画的にパチっと決まる瞬間がなくてすばらしかったです。あえて例外を挙げれば、決まっていたのは撮影中のアルトマンの「うしゃしゃ」という笑顔でしょう。

2007.9.17 犬塚稔逝去
「監督は語る」犬塚稔さん
 犬塚監督100歳の時のインタビュー

2007.10.29 谷口千吉逝去
谷口監督のフィルモグラフィーの中に、『国際秘密警察 鍵の鍵』(1965 東宝)という作品があります。ご存じジェームズ・ボンドが活躍する『007 ドクター・ノオ』日本公開・ヒット後に、すばやく東宝が手がけたスパイ・アクションの4作目で、三橋達也が諜報部員に扮しています。

この『国際秘密警察』シリーズの4作目と3作目を1本に再編集し、関係ない英語の台詞で全部吹き替えた人間がいました。それがウディ・アレンで、作品名は『What's Up Tiger Lily』です。

What's Up, Tiger Lily?What's Up, Tiger Lily?
(2004/02/02)
Woody AllenTatsuya Mihashi

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さて2006年の11月に、映画『イカとクジラ』を試写で観ました。「映画&文学&ロックと“不完全家族”に愛をこめ」「全米が笑って泣いた」そうです(映画は06年の12月2日に新宿武蔵野館で公開されました)。

thesquidandthewhale.jpg

80年代のブルックリンに、離婚宣言した夫婦がいました。夫はかつて華々しい脚光を浴びたが長年スランプの作家。かたや妻は新進作家で、息子らにセックスライフを打ち明ける人です。16歳と12歳の二人の息子が、離婚宣言を受けておずおずと尋ねたのは飼い猫の立場。公園を挟んで反対側に家を借りた父と、母の家を慌ただしく行き来する日々が始まります。

繊細で知的だから肝心なことはおいそれと言えない。
肝心なことがおいそれと言えないから繊細で知的なんだ。


青字は台詞ではありません。私が勝手に考えました。16歳ウォルトの、このような自意識がナイアガラ瀑布さながらに流れ、そこに巻き起こる風が、彼を取り巻く文学・カルチャーのかほりを運ぶ作品です。あくまで匂いのみです。「『変身』読んだわ。すごかった」「カフカ的だよね」「カフカ作品だもの」という。

人物たちの言動はリアルゆえに極端です。映画よりも演劇によくある手法を使っていました。

最後はウォルトが思い出の博物館に走っていくと、少年の頃に彼がこわごわ観たイカとクジラの巨大ジオラマが、当時と変わらぬ姿のまま、主人公を待っていました。成長したウォルトはじっとそれを見つめましたとさ。

……………私はこの映画に出てこない「全米の笑い」を支持します。少なくともジオラマは、跡形もなくなっていなくてはなりません。

しかし映画の中には「譲歩して」というためになる台詞もあったので、さっそく現実に応用しましょう。
…主人公が母親に聞きたくても抑えていたことを、いざ口に出した時、母親は何か言おうとします。あっ答えが出てしまうのかと思いきや、彼女が何を言うつもりだったのかは明らかにされません。
こういう緻密に計算されたアップの演技の撮り方や編集技術なくして、スクリーンに瀑布のように人間の自意識を流して見せる(=退屈に滞らせない)のは不可能だ、ということがわかりました。

thesquidandthewhalepress.jpg

ニューヨーク・ポスト紙は『イカとクジラ』を「2005年の最もウディ・アレン的映画」と評したとか。ノア・バームバック監督(1969?)はいずれ第二のウディ・アレンと呼ばれてしまうのでしょうか。

ところで世界には、第二のウディ・アレンが自称込みで何人いるのでしょう。第一のウディ・アレンですらコメディ観があわなくて、今回の『マッチポイント』でやっと愉快な気持ちになったのに。第二のウディ・アレンが、グレイシー一族よりは少ないことを祈りましょう。

『マッチポイント』ではジョナサン・リース・マイヤーズ(トップ画像)が元テニスプレーヤーを、『イカとクジラ』ではウィリアム・ボールドウィンがテニスのコーチを演じています。もちろんテニスをする場面も出てきます。
2人の俳優に共通しているのは、身体と腕の間、両足の間によけいな隙間がいっぱいあって面白いことです。

アスリートのストロークは、試合前のゆったりした練習でも、ビンに蓋がきっちりはまってキュッと閉まるような気持ちのいい動きをします。そして身体はリズミカルです。
私はテニスを真剣に観るようになってから、まだ日が浅いのですが、それでもプロと俳優の違いは、わずかな身体の動きだけでこんなにはっきりわかるものなのかと思いました。

俳優の演技については、本物っぽく見えたことを評価の基準にする人もいます。が、私自身はそれよりも、「コーチ業で転々とする元テニスプレーヤー」(マッチポイント)「主人公一家とつきあいのあるテニスのコーチ」(イカとクジラ)という設定から、観客が自由に想像できることがいっぱいある演技をしているかどうかが大事だと考えています。
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